福岡市博物館に「
木喰(もくじき)展」を観に行きました。
木喰さんは、江戸時代のお坊さま。
22才で仏門に入り、56才のときに全国行脚の修行の旅に出発します。
北海道から宮崎まで、木彫の仏さまを彫りながら旅したすんごい坊さまなのです。
80才のころから笑顔の仏像をつくり始めると同時に、千体仏造像の願をたてました。
90才で千体仏造像を達成すると、二千体仏造像の願をたてます。
93才に人前から姿を隠すまでいったいいくつの仏さまを彫ったんだ!?
という偉大な人です。
素朴でアーシー、モダンでユーモラスな仏さまをたくさん作ったので、円空さんと並び称されることが多い木喰さん。
学校の教科書にも載っている円空さんの方がすこしメジャーですが、さっと荒削りに(見える)木そのままの形を生かした円空さんの仏さまとくらべて、ていねいに丸く丸くやわらかく彫られ、笑った木喰さんの仏さまはなんともかわいいのです。

つくられた仏さまがみんなすてきで、観ていると「ふふふ」と声が聞こえてきそうです。
昔の人の暮らしの中に、仏さまはとてもとけこんでいたようです。
飛騨高山の千光寺にのこる「観音三十三応化身」は、いま三十一体になっているそうです。
昔は、近所の人たちが家族の具合が悪いからと、仏さまをお借りして、枕もとにおいて病気が治るようにお祈りをしたそうで、あちこち貸し出しているうちにどこかに二体行ってしまったというお話です。
長岡の金毘羅堂の木喰自身像は、前半分はつるつる、顔はぜんぶ磨り減っています。
平らなはずの裏側はまあるくくりぬいてあって、子供がそりにして遊んでいたんだそうです。
同じ金毘羅堂にある観音菩薩像も、全体的につるつるになっていて、こちらは夏に、浮き輪がわりにされて子供と水遊びをしたからだとか。
宮崎にのこる木喰自身像は、薬代わりに少しずつ削られて病気の人に飲まされたそうで、お顔が磨り減っているそうです。
うつくしいものやありがたいもの、さわり心地が良さそうなものには、ちょっとさわってみたくなるもんです。
ましてやニコニコしている仏さまだと、悪ガキもちょっと遊んでみたくなるでしょう。
けれど、いまどきお寺に行くと、仏さまを拝むのに「拝観料」を払えといわれ、さわれないようにロープが張ってあります。
「ありがとうございます」となでさすってご利益をいただくことは禁止です。
文化財法とか、落書する罰当たりがいるとか、理由はいろいろあるのでしょうけど、なんだか仏像を物としかみないで管理しているように感じるのはワタシだけでしょうか。
すてきな木喰さんの仏さま、自然光が差し込むお堂の中でまた観たいと思います。
●新潟市小千谷市小栗山 木喰観音堂
●京都府南丹市八木町諸畑 清源寺
(ふだんはここで拝観できます)
◆きょうのモモ◆

こたつから、

のぞいています。
寒いもんね。